トウガラシ(唐辛子)
起源 : 一般にインドや中国と思われがちだが、南アメリカのボリビア中部地方原産が定説である。

唐辛子とは : ナス科の一年草。辛味種は胎座・果皮に刺激性の辛味を有し、乾燥させて香辛料とする。 甘味種は、一切辛味を含まないピーマンやパプリカなど。

唐辛子の辛い部分 : 唐辛子の中で最も辛い部分が、胎座と呼ばれる真ん中の綿のような所。その次に辛いのが皮。種そのものには一切辛味はない。

唐辛子の辛味成分 : 唐辛子といえば、日本では一般的に鷹の爪の赤い色を思い浮かべる人が多い。この赤い色が辛味の主成分カプサイシンと思われがちだが、カプサイシンそのものは白色の粉末または結晶。唐辛子の赤い色は、カロチノイド系色素によるもの。

唐辛子の作用 : 唐辛子を食べると、体が熱く感じたり、汗が出たりすることはご存じのことと思う。辛味成分「カプサイシン」を摂取すると、副腎(交感神経)が刺激され、アドレナリンの分泌が高まる。その刺激により、脂肪組織では脂肪(トリグリセリド:TG)から遊離脂肪酸への分解が促進され、肝臓では蓄積されているグリコーゲンがグルコースへと分解される。このグルコースと遊離脂肪酸という2つのエネルギー産生基質が、血液により末端組織へ運ばれてエネルギーとして燃焼される。このエネルギー代謝が促進された結果を体熱産生の増大(体温の上昇)や発汗として感じることになる。この体熱産生の過程で生じる脂質代謝の促進(脂肪分解)は体脂肪の減少へとつながる。

唐辛子の刺激性 : 唐辛子は食歴が長いスパイスだが、辛味成分は刺激性が強いため、一度に大量に摂取したり、高濃度で摂取したときは、胃腸などへのダメージが起こる場合もある。また、胃腸の炎症で治療を受けている方、胃腸の炎症をおこしやすい体質の方、痔の疾患をお持ちの方は摂取をお控えた方がよいだろう。

唐辛子のダイエット効果
1.体内に入ったカプサイシンは、その殆ど(85%)が胃腸で吸収される。
2.次に吸収されたカプサイシンは、血液によって脳へと運ばれ、内臓感覚神経に刺激を与える。
3.すると脳は、副腎へアドレナリンを分泌するよう指令を出す。
4.アドレナリンがじっとしていても、沈着した脂肪を燃焼してくれる。
※カプサイシンは運動による脂肪燃焼と違い、速効性があるので、食後すぐに脂肪を燃やし始める。だから息づかいもすぐに激しくなる。

引用: 第88回『唐辛子』他


マスタード(からし粉)
一般にからし粉、辛子粉、芥子粉、マスタード、和がらし、洋からし、などと言われている物は、 すべてカラシ菜(芥子菜)という「十字花科>アブラナ科」の植物の種子を原料としています。
このカラシ菜の種子にも幾つか種類がありますが、主な物は下記の通りです。


学名 ブラシカユンケア
/ Brassica juncea
ブラシカ ニグラ
/ Brassica nigra
シナピス アルバ
/ Sinapis alba
和名 和がらし 黒からし 白からし
英名 オリエンタルマスタード ブラウンマスタード イエローマスタード
種皮の色 黄色 黒又は黒褐色 黄白色
種子の形状 球形・約1o 球形・約1o 球形・約2o
辛みの主成分 アリール辛子油 アリール辛子油 ベンジル辛子油
辛みの特徴 揮発性・鼻孔を刺激する強烈な辛み 揮発性・鼻孔を刺激する強烈な辛み 弱揮発性・口腔を刺激するマイルドな辛み

この他に、まだ幾つもの種類があったり、又上表の区分けを更に細かく分類するなど、そ の分類や名称は植物学者によって異なるようですが、取り敢えず日本国内で一般的に消 費されるカラシ粉は、通称オリエンタルマスタードと呼ばれる物が大部分を占めています。

製法 : 現在日本国内で販売されているカラシは、粉末とペースト状の2種に大別されます。
粉末の製法は、原料 → 搾油 → 粉砕 → 篩別 → で出来上がりです。
実際には種子の収穫や精選、洗浄、又はケーキや粉末の乾燥工程、品質検査など
メーカーによって独自の工程があると思いますが、基本的に種子の油を絞り、
絞りカスを細かくすればカラシ粉になります。 ペースト状のカラシについては、
カラシ種子から直接製造する物と、一旦粉末にしたカラシ粉を使用する物があるようですが、
どちらも辛味や香り、色等の劣化を防ぐためにカラシ以外の添加物が混入されています。

用途 : カマボコやハムの製造過程で活着材又は消臭材として使用されたり、
マヨネーズに代表されるドレッシング類の1原料として使用されたりしていますが、
カラシとして目に見えるのは一般に下記の用途です。

漬物 : 丸ナスや一口ナス、巾着ナスのカラシ漬けが一般的。
その他キュウリやカブ、ニンジン等季節の野菜の浅漬けに使用すると素材の色が鮮やかで、
且つ辛味が食欲をそそる。

薬味 : (練りカラシ)日本各地で様々な薬味として使用されているが、
一般的なのはおでん、ところてん、納豆、豚カツなど。
その他主に肉料理に消臭、風味付、食欲増進効果の為用いられるが、
地方によっては、日本そばの薬味や刺身の薬味にするなど、その地方独特の用途がある。